富士通が携帯電話事業を売却することになった。米アップルのスマートフォンiPhone(アイフォーン)」などに押されており、ジリ貧となっている状況を抜け出すのは困難と判断した。日本の電機メーカーはかつて競って携帯電話を生産、その数は10社を超えていたが、残るはソニー、シャープ、京セラの3社に絞られた。

 2017年9月にも1次入札を実施する。応札者として、欧米の投資ファンドレノボ・グループなどの中国メーカーの名前が挙がっている。売却額は数百億円になるとみられている。開発・生産からは撤退するが、売却後も富士通は事業会社の株式の一部を保有し、「アローズ」「らくらくホン」といった自社ブランドは継続する意向だ。

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■「ガラケー」と揶揄

 富士通はかつて「電電公社次男坊(長男はNEC)」と呼ばれただけに、電話機などの通信機器には強かった。携帯電話の時代を迎えた2000年代初めにあっても特にNTTドコモに食い込み、NEC松下電器産業(現パナソニック)、シャープとともに国内大手の一角を占めた。しかし、2008年のアイフォーン国内販売開始でスマホ時代へと大きく局面が変わった。消費者の欲することと必ずしもマッチングせず独自の進化を遂げた国内メーカー各社の携帯電話端末は「ガラパゴス」略して「ガラケー」と揶揄され、劣勢をしいられた。時間を置かず、櫛の歯が欠けたように次々と撤退するメーカーが相次いだ。

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 富士通は2012年には東芝の携帯電話事業を統合。事業を立て直すため、2016年2月には本体から分社化していた。ただ、富士通高齢者向け「らくらくホン」など独自製品を展開して一定の消費者の支持を得ている。出荷台数はピークだった2012年3月期の800万台から右肩下がりで、18年3月期に310万台程度とみられるが、それでも17年3月期に1500億円程度の売上高と100億円程度の営業利益を得ている。ジリ貧とは言え、少なくとも赤字を垂れ流して会社の足を引っ張っているわけではない。